離乳食で気をつけたいアレルギー食品と症状は?
2016/11/02
離乳食を初めて少しづつ食べる食材の種類を増やしていくと心配になるのがアレルギーですよね。ここでは離乳食において注意したいアレルギー食材やアレルギーの症状、離乳食をどのように進めていくべきかなどを解説していきますね。
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目次
そもそもアレルギーとは?
アレルギーとは特定の原因物質であるアレルゲンに体が過剰に反応してしまい、様々な症状が出てしまうというものです。症状の出方に蕁麻疹などの発疹や粘膜の腫れなど色々なものがあり、原因物質であるアレルゲンには代表的なものはあるものの、数々の種類の食材があります。
親のアレルギーは赤ちゃんに遺伝する?
親のうちの片方がアレルギー体質の場合、赤ちゃんにアレルギーが遺伝する可能性は50%ほどだそうです。親が両方ともアレルギー体質の場合は75%くらいになるようです。ただ、日本人は何もなくても約30%の人が何らかのアレルギーを持っていると言われています。
そして親が小麦アレルギーだから赤ちゃんも同じ小麦アレルギーになるとは限らないんです。アレルギー体質そのものが遺伝して特定のアレルゲンは違うものになることは十分あり得ます。ただし同じアレルゲンが遺伝しやすいとは言われています。
花粉症もアレルギーですし、アトピー性皮膚炎もアレルギーが原因となっている場合があります。親がアレルギー体質の場合はこれらの症状が出てくる可能性もあります。
離乳食で気をつけたい食材
0歳から3歳までの赤ちゃんがアレルギーになりやすい3大アレルギーというものが存在します。離乳食で与えるときは特に注意するようにしましょう。
- 卵
- 小麦
- 乳製品
卵はパンやケーキにも含まれていますし、小麦はうどんやそうめん、パンなど多くの食品に含まれています。乳製品も牛乳やチーズ、ヨーグルトなど様々な食品がありますね。これらのアレルギーになった場合には注意しなければいけない食品が増えますのでこまめに食品のラベルをチェックする癖を付けないといけません。
卵に関しては卵黄よりも卵白にアレルゲンが多く含まれています。初めて食べさせるときは黄身をほんの少しから始めましょう。卵は乳幼児のアレルギーでは最もメジャーなものです。そもそも食物アレルギーを起こす赤ちゃんは全体の10%ほどと言われていて、そのうちの60%が鶏卵アレルギーなんだそうです。
そしてこの3大アレルギーに以下の4つの食材を足した7大アレルギーというものもあります。
- エビ
- カニ
- 落花生
- そば
これら7つのアレルゲンは特定原材料とも呼ばれているのですが、離乳食に慣れてきた頃に何気なく与えてしまうパパママも多いと思います。エビやカニなどは魚のすり身であるちくわやはんぺんなどの食品によく含まれています。こういったアレルギーを引き起こしやすい7大アレルギーがあるということを頭の片隅に入れておいてください。
その他にも食品衛生法により特定原材料に準ずるものとして食品の表示が義務付けられている食材があります。これらの食材はアレルギーが出る可能性が高いものではありますが、0歳から3歳くらいの子どもに出ることは少なく、大人になってからアレルギー反応が出る場合が多いです。
- あわび
- いか
- いくら
- オレンジ
- キウイフルーツ
- 牛肉
- くるみ
- サケ
- サバ
- 大豆
- 鶏肉
- バナナ
- 豚肉
- まつたけ
- もも
- やまいも
- りんご
- ゼラチン
- カシューナッツ
- ごま
りんごやバナナなどは赤ちゃんが好きそうな甘い果物なので気軽に与えてしまいそうですが、アレルギーを引き起こす可能性も十分にありますので初めて食べさせる場合には特に注意したいですね。
大豆などは豆腐の原材料でもあります。離乳食本にはアレルギーのことはあまり記載されておらず、「離乳食に慣れてきたらバナナや豆腐をあげてみましょう」くらいに軽く書かれています。
バナナを食べさせてアナフィラキシーショックに陥った赤ちゃんもいますので侮っていると非常に怖いですよ。注意するに越したことはありません。
代表的なアレルギー症状
食物により引き起こされるアレルギー反応の症状を知っておくことで、すぐに食物アレルギーかもと疑うことができます。非常に怖い症状もあるので注意が必要です。
肌に蕁麻疹
食物アレルギーが起きた場合の症状はほとんどが皮膚に蕁麻疹が出るというものです。顔や首、おなかや太もも、手のひらなど体のさまざまなところに蕁麻疹が出る可能性があり、食後2時間以内に症状が出る場合がほとんどです。アレルギー反応には軽いものから重いものまで個人差があります。
またカサカサしたりポツポツとしたものが出る場合もあります。
粘膜に腫れや赤み
目の内側やまぶた、唇などの粘膜部分が腫れて強い赤みが出るものです。主に顔の粘膜に出ることが多いです。
目が赤くなったりかゆみが出る場合もあります。
嘔吐や下痢
食後に嘔吐したり下痢になったりすることもあります。これは消化器官に異常な症状が出ているためで、おなかが痛くなる場合もあります。
咳、くしゃみ、鼻水など
呼吸器官に異常な症状が出ると咳やくしゃみなどが引き起こされる場合があります。普段からくしゃみなどが多い赤ちゃんは気付きづらいかもしれませんが、食後2時間以内にこれらの症状が頻発している場合は食物アレルギーを疑って下さい。
鼻水、鼻づまり、ゼイゼイとした呼吸などの症状が起きる場合もあります。
アナフィラキシーショック
食物アレルギーで一番注意したいのがアナフィラキシーショックで、呼吸困難や意識の混濁など生命を落とす可能性もある恐ろしいものです。短時間のうちに複数の臓器に急激に症状が出るのが特徴です。
食後30分以内に起きる場合が多く、血圧の低下や意識障害など危険な状態に陥ります。
一旦収まってもアレルゲンが体内に残っているともう一度症状があらわれる二相性反応というものもあるので、少しでも症状が出たらすぐに病院へ行くようにしましょう。
非常に危険な状態になりますので119番に電話して救急車を呼ぶことも考えておきましょう。
遅延型(非即時型)症状
これまで紹介してきた食物アレルギーは食後数分から2時間以内に起きる即時型と呼ばれるものです。食物アレルギーの場合は殆どの場合、即時型の症状があわられます。
これとは別に食後6時間~24時間かけてゆっくりと体の症状が変わっていく遅延型(非即時型)と呼ばれるものがあります。症状としては下痢や血便、アトピー性皮膚炎の悪化などが挙げられますが、時間が経過してから症状があらわれるため、食物アレルギーとの因果関係を証明するのが難しい一面もあります。
食物アレルギーは治る?
自分の赤ちゃんが食物アレルギーになってしまったらパパママはショックですよね。しかし乳幼児の食物アレルギーの多くは3歳ごろまでに改善することがほとんどです。
離乳食を始めたころの赤ちゃんの消化器官は非常に未熟で、それが原因で食物アレルギーになってしまっている可能性が高いんですね。なので消化器官が成熟するのとともに食物アレルギーもなくなる場合が多いんです。
アレルギー症状が重い子どもの場合も7歳くらいの時期には改善する場合が多いので、食物アレルギーになってしまったからといって悲観せずに正しい知識を付けて楽しく安全に食事ができるようにしましょうね。
離乳食の進め方
まだどんな食材にアレルギー反応を起こすかわからない赤ちゃんに対して慎重に離乳食を進めていくことは非常に重要なことです。安全に慎重に進めることで仮にアレルギー反応が出てしまっても重症化するのを防ぐこともできます。
初めての食材は1日1種類1さじ
最初はお粥、そして人参やかぼちゃなどの野菜と少しづつ食べられる食材を増やしていきますが、初めて食べさせる食材に関してはごく少量、具体的には多くても1さじくらいの量から始めるようにしましょう。また、初めて食べる食材は1日1種類にすることによってアレルギー反応が出てしまった場合に食材を特定することができます。
余裕のある時間帯に食べさせる
特に初めての食材を食べさせるときにはアレルギー反応が出てしまう可能性もありますので、緊急に対応できるように自分にある程度の時間的な余裕があるときに食べさせるようにしましょう。
あまり忙しいときに慌てて初めての食材を与えて赤ちゃんが急変してしまっても対応に困ってしまいます。また行きつけの小児科医などが開業している平日の午前中などの時間帯に食べさせるということも重要なポイントです。何かあったときにすぐに駆け込めるというのは1つ心の支えになりますね。
アレルギー反応の多くは、食後2時間以内に起きます。初めての食材を食べさせるときは常にアレルギー反応があるかもしれないと準備をしておくくらいの気持ちでいたほうがいいかもしれません。
なまものは避ける
これはアレルギーとは別ですが、刺身などのなまものは食中毒などの危険性があるため、3歳くらいまでは食べさせないようにしましょう。
またゆで卵が食べられたからと言って、生の卵も同様に食べられるかと言うとそうではありません。卵に含まれるアレルゲンであるオボアルブミンというタンパク質は加熱することによってアレルゲン性が失われます。生で食べてしまうとその食物が持つアレルゲンがそのまま取り込まれるのでアレルギー反応を起こす可能性があります。卵には他のアレルゲンもあり、加熱してもアレルゲン性が失われないものもありますので加熱すれば確実にアレルギー反応が出ないということではありませんが、生で食べるよりは相当リスクが減ります。
2歳以下の乳幼児には生卵はできるだけ避けるようにすると厚生労働省も発表しています。
食物アレルギーが発覚した後の対応
赤ちゃんにアレルギーがあることがわかって、アレルゲンの特定もできた場合、離乳食の対応は大きく2つに分かれます。
アレルゲンを取り除く
アレルギーを引き起こしているアレルゲンを赤ちゃんに与えないようにする食物除去というのが一般的な方法になります。卵アレルギーであれば卵が入った離乳食は一切与えないようにします。
卵の場合はパンやケーキなどにも入っている場合が多いので、自分で作った食事以外はこまめにラベルをチェックする必要があります。
原因物質を完全に除去することでアレルギー症状を発症することを確実に防ぐことができます。
少しづつ食べさせる
最近注目され始めたアレルギー対策の方法が経口免疫法と呼ばれるもので、原因となるアレルゲンをアレルギー症状が出る直前のギリギリの少量だけ与えて、少しづつ慣れさせていくというものです。
アレルギー症状が比較的重くない赤ちゃんのみ適応できる方法ですし、副作用やアナフィラキシーショックを誘発する可能性もありますので医師の指導のもと行う必要があります。
卵アレルギーであれば卵をほんの少量、耳かき1/5くらいの量を食べさせて、翌日は少しだけ増やして…というのを繰り返していって最終的には卵が1個食べられるようにまでなるというものです。
ただ、離乳食期の赤ちゃんにアレルギーが発覚したからと言って、すぐに経口免疫法を導入するのは賢明な判断ではないかもしれませんね。子どものアレルギーの多くは3歳ごろまでになくなると言われています。症状が重いアレルギーでも7歳くらいには改善する場合が多いです。
それよりも年齢が上がってもアレルギーが治らない場合に検討したい方法ですね。
赤ちゃんのアレルギー検査
アレルギー症状が出た赤ちゃんに対してアレルゲンを特定するためにアレルギー検査をすることができます。アレルギー科のある小児科などで実施することができますよ。
血液検査
採血をしてアレルギーのもとになるIgE抗体が血液中にどのくらいの量あるのかを検査します。赤ちゃんから採血をするので注射する必要があります。アレルゲンごとにIgE抗体の数値を調べることができますのでアレルギーを引き起こすアレルゲンを特定することができます。
皮膚検査
皮膚検査は血液検査と違い、注射をしなくて済むというメリットがあります。スクラッチ針を使って赤ちゃんの腕や背中に出血しない程度の傷をつけて、そこにアレルゲンエキスを垂らして赤くなるかどうかテストするスクラッチテストというものと、腕などにアレルゲンを染み込ませた紙を貼って赤くなるか確認するパッチテストの2つがあります。
アレルギー検査はいつから受けられる?
赤ちゃんのアレルギー検査は生後4ヶ月から受けられます。しかし離乳食初期の1歳未満の赤ちゃんの場合は消化器官が未熟なのでアレルギーが出やすく、すぐに治るアレルギーでも反応してしまったり、アレルギー反応が陽性でも実際に食べてみたら問題なかったりと不安定な部分も多いです。
血液検査の場合はプニプニした腕の血管に注射を刺して血液を採取するのは難しいためにアレルギー検査自体を渋るお医者さんもいるみたいですね。
アレルギー検査は赤ちゃんにも負担がかかりますし、アナフィラキシーショックなど多少のリスクもありますので、受ける場合はよく検討してから受けるようにしましょう。
アレルギー症状がひどくて心配な場合などはアレルギー科のある小児科に相談してみましょう。
まとめ
かわいい我が子には食物アレルギーであってほしくないものですが、適切に管理すれば命に関わることはありませんし、症状も出ることはありません。
しかし食物アレルギーのことをしっかりと勉強しないばかりにアナフィラキシーショックのように子どもの命を危険な状態にさらしてしまうことがあるということを理解しておく必要がありますね。
また食物アレルギーが発覚したからといって、一生付き合わなければいけない体質だということではありません。子どもの食物アレルギーの多くは成長につれて改善していきます。仮に改善しなかったとしてもそれはその子の個性なんだと考えるようにしましょう。